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ちょうどわたしのディスプレイも同じところまで到達したので、正当な理由をもって菊池から顔をそむけることができた。だけど本当はディスプレイの鮮やかさを直視できないほど絶望的な気持ちになっていた。
できちゃった婚。
言葉にすると単純だが、その一言で様々な事実と憶測ができてしまう。つまり、斉藤くんはわたし以外の人と肉体関係を持っていて、子供が生まれるということで、もうどんなことがあってもわたしとの関係は修復しない、できないということだ。
菊池のカタカタとキーボードを打つ音が耳障りだった。そして菊池はまだ話をやめようとしない。
「俺と中田、それに関口と矢代はもう誘われてる」
「……ふうん」
「樋口にも来てほしいみたいだよ」
「なんでわたし?」
それだけだと言葉が不足している気がして、よくある理由を付け足した。
「男だけの方がよくない?」
「え? だってお前と斉藤、仲いいじゃん。それに同じ課なんだしさ、当然だろ?」
「まあ、それはそうだけど……」
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