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(汐里)樹くんもちゃんと寝てね!おやすみなさい
自分の送ったメッセージが全て既読になったのを確認し、汐里の顔はますます緩んだ。
樹が目を通してくれたのだと思うと嬉しくてたまらなかった。
今夜は本当に眠れないかもしれない。
汐里は全身がときめくハートになったような気持ちを感じながら、お風呂場へと足取り軽く階段を下りていった。
「すみません運転手さん、ここで降ります」
樹は自分のスマホをズボンのポケットへ収めたあと、乗っていたタクシーから目的地の少し手前で降りた。
自分のマンションまで、まだ少しある。
見上げれば、真っ暗な空にもう月は見えない。
しかし、樹は数時間前に見た上弦の月を思い出していた。
これから育っていく月。
日に日に満月へと歩を進めていく形。
「『青い月』は、遠回りして帰りますか」
樹は一歩一歩ゆっくりと歩き始めた。
遠回りしているように思えて近付いているような不思議な感覚。
目的地まで、そんなに遠くはないのかもしれない。
★「君に恋する青い月」2巻につづく
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