【1】ホワイトレディ

1/39
前へ
/193ページ
次へ

【1】ホワイトレディ

「ねぇ、ちょっと聞いてるの?」 「ふぁっ?」 汐里はパッと顔を上げた。耳元で聞こえた声により、あっという間に現実の世界へと逆戻り。 夢見る乙女の夢心地な時間はあっという間に消え去った。 休み時間の教室はざわざわしている。 「まったく、また王子様の夢でも見てたんじゃないの?」 図星である。一瞬ドキッとしたが、それを悟られないように平静を装い、汐里は声の主である麻耶の方を見た。 「私だって、色々考えることぐらいあるんだから」 ぷいっとそっぽを向く汐里。 その姿を呆れたように見ていたもう一人の声の主・咲子が口を開いた。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加