一ヶ月が経過

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一ヶ月が経過

妻が倒れて一ヶ月が経過していた。 相変わらず、妻は眠ったままだった。 まったく、反応がない。 一ヶ月、妻が目覚めないことに現実を 突きつけれた。 最初は、妻の親も私の親も子供達も 妻が必ず目を覚ますと信じていたが、 何処か諦めと絶望の空気になってきた。 妻の親も、遠くに嫁いだと思って 諦めていた。 子供達も、長男と次男も諦めているのか? 妻に会いたがらなくなった。 諦めていないのは、私と三男だけだった。 そんな時に、嬉しくて泣ける出来事があった。 立ち上がる勇気を私や子供達に届いた。 まずは、新年度で忙しい中、会社の仲間達が 千羽鶴を作って届けてくれた。 同じく子供達の学校からも千羽鶴が届いた。 何より、転勤して遠く離れた場所から 千羽鶴が届いた。 一年前まで住んでいた礼文島の妻の友達や 子供達のメッセージや応援の色紙が届いたこと。 少し前までは、悲しみや絶望や妻の死を 感じたりで沢山泣いた。けど、嬉しいことで泣けた時は気持ちが少し楽になった。 人の繋がりが勇気をくれる。 人の優しさが絶望を退ける希望になることを知った。 今、思い出しても涙がでる。 多くの千羽鶴が妻や子供達の支えになった。 妻や子供達ばかり気にしてた。 当たり前のこと。 しかし、妻や子供達のことばかりで、私自身ボロボロになっていることに解ってなかった。 私自身が、弱者であると気付くべきだった。 私の母親は、私の精神状態が不安定でないか? 一抹の不安があったと言ってた。 その忠告を真摯に受け止めるべきだった。
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