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今日の講義は散々だった。
週の最初、月曜日の授業。いつもの様に準備万端で講義室に入った筈だった。
いつもの様に、淡々と万葉の歌人、阿部公麿の『相聞歌』についての講義を行う筈だった。
そして学生たちは私の講義内容について感嘆の声を上げる筈だった。
……筈だった。
蓋を開けてみれば。
今日から使う教科本が変るって言ってあったのに、しかも学内ネットにも書き込んでおいたのにも関わらず前の本を持ってくる学生どもが半数いた。それで結構キてたんだけど、更にボランティア学生が配る前にプリントをぶちまけ、慌てて回収した際に教壇を蹴倒してくれて、壇上のマイクを破壊。
替えのマイクが来るまで私は声を張り上げまくって講義をした、んだけど。
元々声量の無い私。替えのマイクが到着した頃には既に声枯れしてボリュームMAXでも最前列の学生が聞こえない事態に。
カフェテリアで腐っていたら、同情した鈴木先生がのど飴をくれたのは嬉しかったんだけど、のど飴は私のお口にはデカすぎて、おええええって感じですぐさまゴミ箱に吐き出した。
すぐに謝ったけれど。
笑ってはいたけれど。
多分怒ってる。
だって目が、なんだか寂しげだった。
もう一度明日謝ろう。
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