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ルデオはジェドの強い口調に本気を感じ取り、頭を下げた。
「はい。もちろんです。それでは今夜の夜会には出席しないということで。今から中止にはできないものですから」
「ああ、そうする。ごくろうだった」
「いいえ、まだ終わりではありません。ご結婚なさるまでは…急かすようで申し訳ありませんが、取り敢えず1年はお待ちします」
「1年…」
ネイが呟く。
「はい。もちろん早ければ早いほどいいですが、お付き合いを始められたばかりということでしたら、少し期間を置かれたいでしょう。知らぬ仲でもないですし、そのくらいが頃合いかと」
ジェドが頷いて言った。
「そうだな。1年後にはなんとかなるよう努力しよう」
「よろしくお願いします。それではこれで失礼します」
ルデオが部屋を出ていくと、ネイは途方に暮れてジェドを見た。
「1年後にどうすればいい?」
「その頃には相手に恵まれているかもしれない。まあ、機会を投げ出してしまったわけだが」
「あああ、まさか期限を切ってくるとは…」
「そう悲観することもないだろう。もう1年ぐらいは延ばしてやれると思う」
「2年…」
「今はまだその気になれなくても、2年後には違うかもしれない。どうしても独り身でいたいなら、そう宣言するのも悪くない。そのときは援護してやる」
「本当か!当てにするぞ」
「ああ。だがまずは、試さないとな」
「ん?何をだ?」
ジェドは青い髪をさらりと揺らして椅子に座るネイに口付けた。
ネイは緑色の目を大きく見開いた。
「俺とそういう関係になれるかどうか」
ネイは小さく口を開き、それから顔を真っ赤にして喚いた。
「おっ、思い人はいないって!」
「いないとは言っていない」
「いいいいきなりすぎだろう、こんな」
ジェドは今度はゆっくりと顔を寄せ、ネイと目を合わせてから口付けた。
「これならいいか?」
「いっ、いいわけないだろう、普通はひと言あってしかるべきじゃないのか!」
「言葉で伝わるか?結局これぐらいしないと判らないんだろう、ネイは」
「そっ、そうかもしれないが…いや待て、問題はそんなことじゃなく…お前さんは本気で結婚を前提に私と付き合い始めるつもりなのか!」
「そうだが?」
「そうだがって…涼しい顔するな!ルデオには言って公認の仲になって…私、引き返せなくなってないか!?」
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