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女王と夫
翌日、ルデオに結婚することを伝え、ネイとジェドは早々に伉儷となった。
それからというもの、夜はジェドの居室で過ごし、朝は今のように朝食をネイの居室の食事室でともに摂っている。
「今日から視察の旅だっけ。書類仕事をしなくて済むのはいいね!」
「しないわけじゃない。移動中はやってもらうぞ」
ネイは残念そうな顔をした。
「はあ、そうなのかい。何か気晴らしになることはないもんかね!」
「望むなら旅先のお前の寝所に入るが?」
「そういう意味じゃない。ああ、帰ってきたら模擬戦でもやりたいね!」
「お前はそればかりだ」
「夜のことしか持ち出さないお前さんよりましだ」
「仕方がない。お前のことしか考えられないのだから」
相変わらずの無表情で言うジェドを目を細めて見て、ネイは言った。
「そんなにも私のことを考えているのに、私のことが判っていないんじゃないのかい」
「判っているが言ってみている。その気になるかもしれないだろう」
「やっぱり判っていないよ。私だって我慢しているときはあるんだ」
ジェドは目を瞬いた。
「それは…俺を求めるという意味か?」
「求めていなけりゃ結婚なんてしていないよ。ただ旅の間は公の務めだからな」
ジェドは初めて聞く言葉に心が満たされるのを感じた。
「そうか」
ネイはジェドが微笑むのを見て、自分の言葉が大切にされていることを知った。
すぐに、給仕のためにいる者たちを下がらせて、ジェドに口付けた。
ジェドは深い口付けでこれに応えた。
それからふたりは指を絡ませ、朝の貴重なひとときを愛しみ、過ごした。
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