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 入学式から、一ヶ月程が過ぎようとしていた。  大学生活にも随分と慣れ、落ち着きが見え始めた。履修登録も無事に済ませ、勉強も本格的になってきた。  私のキャンパスライフは、相変わらず順調だった。友達にも恵まれ、晴れやかな青春の日々を送っていた。  中でも、異性関係は充実していて、この前、アツシのライブへ見学に行った際は、熱烈な歓迎を受けた。  ライブ中のアツシはとても格好良かった。小さなライブハウスは、熱狂の渦で、張り裂けそうだった。  ライブが終わり、私はアツシの部屋へ招かれた。アルコールを勧められ、まだ未成年だったけど、それを飲んだ。とは言っても、飲酒は既に、高校生の時経験に経験済みだ。  酔った私達は、セックスをした。セックスは、高三の時に付き合っていた彼氏と、卒業後、別れ話になり、縁を切るために最後にやらせてあげたのが最後だった。ちなみに、初体験は、中二で済ませている。  先輩であるアツシ以外にも、連絡先を聞いてきたイケメン達と、何人かセックスをした。  彼らとのセックスライフは、とても楽しかった。だけど、やはり大きな気掛かりが他にあった。  茜の行動が、どんどんエスカレートしているような気がする。  以前は、せいぜい、教室で、近くの席に座り、視線を注いでくるだけだった。でも、今は、食堂や帰りの時まで、付き纏っているようなのだ。不思議なことに、選択科目も被っていることが多く、教室も同じになることが多かった。  これらのことに気が付いているのは、今のところ、私だけらしい。アズミや、その他の友人は、元々茜など眼中にないのか、食堂で近くに座っていたり、同じ教室にいても、気にする素振りすら見せなかった。  だけど、私は違う。茜の標的は、私なのだ。だから私だけは、気が付いている。  茜の目的はいまいち不明だった。茜はいつも一人だった。誰かと一緒にいる姿を見たことがない。  だから、友達欲しさに、私に付き纏っているのだと思った。始めは。  どうもそれが違うと感じたのは、茜の行動がエスカレートしてからだった。友達が欲しければ、声を掛ければいい。けれど、茜はそれをせずに、ただ遠巻きに眺めているだけだった。  それが不可解だった。何が狙いだろう。  私は、茜に対し、薄気味の悪ささえ覚えた。    ある日、大学が終わり、アズミ達と一緒に、近くのファミレスへ行くことになった。  私達は連れ立って、大学を出た。そして、ファミレスへと入る。  ファミレスでの会話は楽しかった。特に恋愛トークは滑稽で、アズミは、ナオキやヒロがとても格好良くて、付き合いたいと話していた。もう今の時点で、付き合うどころか、セックスまでしているのに、おかしなこと言うんだと、笑ってしまう。しかも、他の皆も同じような状況だった。  私も変わらないけど、さすがに、あからさまにヤリマンだとわかる行動は慎んでいた。だから、この会話も少しだけ、自重する。  その後、アズミが銅鍋での料理にはまっていることや、大学のフードコンビニから、惣菜を買って、それも銅鍋で調理していることなど、他愛もない話が続いた。  私も、最近、ハンバーグを作ることがマイブームだった。普段はあまり料理はしないのだけど、以前、テレビでやっていたから、シンジに作ってやったことがあった。すると、シンジはとても喜んでくれた。そのため、本格的にチャレンジすることにしたのだ。  そして、私達は、さらにお喋りに花を咲かせた。  やがて、ささやかな『女子会』は終わりを迎え、私達はそれぞれ、家へと帰った。
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