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いけないこと
意識が浮上したのが分かった。
僕は瞼をゆっくりと持ち上げた。
「よく眠れたか?結斗」
その声に慌てて顔を向けると、僕の隣には朝から爽やかな、それでいて何処か色気を漂わせる海里おじさんが居た。
僕の髪を長い指で絡め取りながら、微笑んでいる。
「今日も二人でゆっくりと過ごそうな」
その言葉に僕は、ハッと我に返った。
「お、おじさんっ、出ていってよッ!」
「…急にどうした」
おじさんが不満に口を尖らせる。
「だって、翔が帰って来たんだよっ?二人で同じベッドに寝てたら変に思われるよ!」
慌てる僕を見て、おじさんが笑う。
「結斗は心配しすぎなんだよ」
「いいから、早く!」
そう言いながら、おじさんの逞しい胸板を押し返す。
おじさんは、我が儘な子どもを相手にしている風な感じで、僕の鼻を指先でチョンッとつつく。
「仕方無い。結斗は恥ずかしがりやだからな」
やれやれと言ったおじさんは、僕の頭を撫でるとチュッと断りもなくキスをした。
それから「後でシャワーを浴びるんだよ」と、夜中にあった出来事が夢でもなく本当の出来事だったと、改めて認識させてくれたのだった。
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