はやる気持ちをクレッシェンド!!

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はやる気持ちをクレッシェンド!!

 放課後。何処かから軽快なピアノ音が聴こえる。 「あっ!」  その音が耳に入ると、アタシはガタンといきなり立ち上がる。 「カナ、どうしたの?」  目の前に座っていた友達が怪訝そうな顔をして訊いてくる。 「りな、アタシちょっと用事を思い出したから先帰ってて」 「ちょっとぉ。今日は帰り道にあの店行こうって言ってたじゃん!?」  りながブーブーと文句を言っている中、アタシはいそいそと荷物をまとめる。 「ごめっ。また次の日に振り替えさせて、それじゃ!」  そう言ってアタシは鞄を手に持って、駆け足で教室へと出て行った。  まだピアノの音は止まない。今日は間に合う気がする。  そう確信すると、聴こえる軽快な音楽のようにアタシの足取りも軽やかだ。  例え、今鳴っているピアノが唯一置いてある教室が校舎の五階の音楽室で、しかもエレベーターなんてものはなく、階段を一階から駆け抜けなければならない現状だとしても、今のアタシには屁の河童なのだ。  階段をタンタンとまるで跳ねるように駆け上がっていく。  メロディが段々と大きくなる。段々と音楽室へと近づいていく。  それに比例するようにアタシの息も弾む。もう少しで、音楽室だ。  ガラッ。     
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