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アタシは必死に先輩にしがみ付く。
「チッ。しかたねぇなぁ。弾いたの聴いたら帰れよ?」
先輩の言葉にウンウンとアタシは大きく頷いた。
すると、先輩は再びピアノの前に座って、
ポロン。
と適当に鍵盤を弾く。
「ほら、弾いたから帰れ」
そう言って再びアタシを睨み付ける。
「せんぱぁい……」
アタシは涙目でもっと弾けと先輩に訴える。
「あーもう! 分かったよ。つまらなくてもしらねぇーからなっ!」
そんなアタシの表情に業を煮やして先輩はふぅと深く息を吐いて、ピアノを弾き始めた。
楽しげなサウンド。まるで、踊りだしたくなるような音楽に、アタシは目をキラキラと輝かせながら耳を傾ける。
先輩は一曲弾き終わると、アタシはパチパチと大きな拍手を先輩に送る。
「先輩、すごいすごーい!!」
「はいはい、それはどーも」
「ピアノを弾いているときの先輩って凄く綺麗だよね!」
「は?」
アタシの一言で先輩は呆気に取られたような顔をした。
「なんかこう、ジャーンってしてるときにドーンってなって、キラキラーってなってるの」
「全然伝わってねーよ」
「つまり、ピアノを弾いている先輩が好きってことなぁー?」
「は、はぁ? 何言ってるんだ、お前は」
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