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友だちの遅刻
駅の改札口を出たところで、スマホの画面を見ていた。
『ごめん、瑞希。寝坊しちゃった。1時間待って!』
この文章を送ってきた未菜と、ここで待ち合わせをしている。
スマホの画面上の時計は10:23と表示している。待ち合わせの時間は10時。
五月だし、暑くも寒くもないからここで待ってもいいけど……。
あと1時間だと?
未菜は遅刻が多い。どんなに大事な場面でも、皆が集合した後にひょこっと現れる。
先生に怒られることもしばしば。それでも彼女の遅刻癖は直らない。しかも、女同士の気軽さからなのか、私のことは特に待たせる。
「親友だと思ってるからだよぉ」
未菜は憎めない笑顔で私に言う。
いつまでも甘やかしていたら、未菜のためにならない。というか、私も待つのは好きではない。
少しくらいなら我慢するけど、1時間はない。
『先に行く』
と、打つ。ここは心を鬼にせねば、いつまで経っても未菜の遅刻は直らない。
『そんなこと言わないでよ。マジで急いで行くから待って』
すぐに返事が返ってきた。早い、早すぎる。スマホ見てないで支度しろよ。
『あと30分で来い。じゃないと置いてく』
『え~、やぁ~だぁ~( ;∀;)』
『打ってる間があるなら急げ』
『ご~め~んんん~~(´;ω;`)』
未菜が時間通りに来るとは思ってなかったけど、まさか1時間以上待たされるなんて思わない。いままでで一番長いんじゃないか?
返事が来なくなったから、スマホから目を離す。
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