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あるところにヒナナクというお姫様がいました。
お姫様はお茶の時間になるといっつもお城のはずれにあるバラの園で紅茶を飲みます。
香草を一枚、はちみつを一匙、カップに入れてスプーンをくるくる。
それがお気に入りの飲み方でした。
「うん、今日もとてもおいしいお茶ね。ありがとう、シ――」
いつもお茶を入れてくれるメイドにお礼を言おうとしたその時です。
「姫様、おはようございます」
いつの間にか、お姫様の隣には白い甲冑に身を包んだ騎士が、背筋をピンとのばして立っていました。
騎士の名前はトスクといいました。
王家に代々伝わる宝剣「ダインス」を王様から授けられたお姫様を守護する騎士様です。
お姫様のことを守るため、日々あっちこっちで頑張っている凄い人です。
でもお姫様が彼を必要とする時はいつだって、彼はそばに立っているのでした。
「あら、おはようトスク。今日は剣術の練習はしないの?」
「これからですよ。ここへ来たら姫様が先に来ていたので挨拶を、と思いまして」
彼はそう言って一礼すると、少し離れたところで鞘から剣を抜き放ち、型を確認するように、ゆったりとした動きで剣を振ります。
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