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「あらトスクじゃない。おはよう、今日もいい天気ね」
「たとえ雨の日であったとしても、姫様が望むのでしたら、このトスクが雨を晴れに変えてご覧にいれましょう」
「あなたにそんなことができるのかしら? クロじゃあるまいし――」
お姫様はそう言ってから不思議に思いました。
どうしてクロなら雨の日を晴れの日に変えられると思ってしまったのでしょう。
でもどうしてだかはわかりません。
だけどクロならニタニタ嗤いながら、すごいことをちょいちょいっとやってのけてしまいそうな気がしたのです。
「姫様はいつもあやつのことばかり考えているのですね」
トスクがちょっと困った顔をしました。
そういえば彼はクロと初めて会ったときはすごく仲が悪かったことを、お姫様は思い出しました。
それも今となってはちょっとした笑い話になるような出来事でした。
お姫様が王様にお願いして作ってもらった騎士団のお目付け役兼雑用係としてやって来たのがクロでした。
特に何を言うでもなく、日々騎士団の寄宿舎の掃除や備品の手入れや会計資料のまとめなどを手伝って、王様へ報告するのが彼の仕事でした。
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