序章

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 ある時、トスクがお姫様の近衛騎士に任命されて騎士団へ派遣されてきたのですが、クロったら団長を探していたトスクの顔にモップをぶつける悪ふざけをしたのです。  後になってお姫様はその話を聞いたのですが、その時にはもうすっかり、トスクはクロのことが嫌いになっていました。 「そういえば……あなた、どうしてクロと和解できたの?」  もしかしたらまだいがみ合ったままなのかも、とお姫様は思いましたが、トスクが本当にクロを嫌いに思っているのなら、きっと加減なんてしないでしょう。  だってトスクは剣も魔法も扱えるすごい騎士なのですから。  本気でクロを倒そうと思ったら彼には造作もないことなのです…………たぶん。 「姫様、失礼ですが私はあやつと和解などしてはいません。今だって対立しているのです」 「そうだったかしら? 私にはそんな風に見えないのだけれど」  お姫様は本当にそう思いました。  だって今もブツブツとクロの悪口を呟く彼の顔は、とても楽しそうに見えたからです。 「なんだよ二人して、俺の悪口か?」  気付くとそこにクロがいました。  お姫様がお茶を飲む時に座る椅子に座っています。 「あら、クロいたの? おはよう、今日もいい天気ね」 「ああ、今日もお前の頭の中みたいに晴れた日だな。バカなお姫様」  クロは相変わらずお姫様を馬鹿にします。  だけど今回はちょっと違いました。     
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