第1章

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 思い返せば、その地雷こそ、当時の彼女の核にある問題だったのかもしれない。  二年という時間。  彼女は、自分に言い聞かせるように自分が「後輩」だと強弁した。  かつては、ぼくが彼女の「後輩」だった。  彼女に告白した時、彼女は高校三年で、ぼくは高校二年。  ぼくが彼女の卒業後、高校三年に上がり、大学に入り、大学一年を終える間、彼女はずっと浪人生だった。  彼女は時間の流れがズレている事に戸惑っていた。  今の彼女の同学年は、かつて二年後輩だったわけだから、当然といえば当然だ。  それでも、半年もすれば、そんな違和感は消えてなくなる些細なものなのだろう。  だが、それは刺さったままの小さなトゲの痛みに、いつまでもかかずらわって居られないというだけのことなのかもしれない。  しかしトゲは確かに刺さっていて、その疼痛は取り除かれることなく、傷は意識の底で化膿する。  それに気づけないまま、ぼくらは親密さを取り戻して行った。
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