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そして、一緒に蛍を見に行った梅雨明けのこと。
「ねえ。あの時の答え、今言ってもいいかな?」
暗い路地。
盛り場の喧騒を少し離れ、アパートのある住宅街へ向かう道。
「付き合おっか。」
ぼくの告白は二年の期間を経て成就したわけである。
しかし、彼女にとっても、ぼくにとっても、それは二年前の続きでしかなかった。
だから壊れることは目に見えていた。
ぼくはもう二年前のぼくではないのだから。
彼女がすがった美しい思い出の日々の続きになるには、ぼくはかつてのぼくと大きく隔たっていた。
それでも、遠い思い出の日々を忘れて、目の前の相手に向かい合っていけたなら、きっと壊れることなどなかっただろう。
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