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飛べ、蛍火
空に手を伸ばせば届きそうな雲に
私はまだ届かない
雲は私の高きを回り
私は地べたをつられて回る
永遠の追いかけっこ
できてたことができなくなったと
靴下を握りしめて祖母が泣く
成長して大人になって、老いていく
まるで行き止まりで振り返り来た道を戻るような道
あの頃のように走り回ってくれないポチ。
犬は人間より早く年をとると言うけれど、
年上だったはずの私を見るポチの目が、
まるで孫を慈しむようでーー顔を背けてしまう
いつだって、時間は私たちの先をいく
肩を抱いてその恐ろしさに耐える時、
死を間際にした父の声が、脳裏に響く
「死ぬ気で生きろーー蛍のように」
いつか来る死のために、私は命を燃料にして飛び立とう
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