僕とボク

僕

知っているさ。自分がなにを言っているかくらい。

「僕はもういい。十分だ。この体はボクが使ってくれ」
「なにを言ってんだよ！」
「僕を大事にしてくれる人はボクと蓮家(はすいえ)だけだ。でも、ボクは違う。知っているぞ。ボクがクラスの人とも仲良くなっていることなんて」
「どうして……」
「話の節々から伝わってきてるさ。それに、僕では蓮家を幸せにすることはできない。蓮家が僕のことを好きでも、僕は蓮家のことが好きではないから」
「嘘つけよ！　お前、あいつの名前だけはしっかりと覚えていたじゃないか！　お前も好きなんだろ？」
「だったとしても、僕ではダメだ。今のあいつが好きなのはボクなんだから、僕ではダメなんだ」
「告白されたのは確かにボクだ！　でも、あいつが惚(ほ)れたのは僕なんだ！」
「人の気持ちなんて簡単に変わる。昔はそうでも今はボクだよ」

僕の気持ちはいらない。
ボクがあいつのことを好きで、あいつがボクのことを好きだと言うなら。

「僕はずっと前から決めていたんだよ。もう何度も考えてのこの結論だ。僕は絶対に引かない」

だからボクは進め。

「……いいのか」
「だからそう言っているじゃないか」
「ボクが貰うぞ」
「ああ」
「僕がするべきことをボクがするんだぞ」
「いいよ」

「……ごめんな」

ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。ごめんな。

ありがとう。

いいよ。