ボク

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ボク

ボクは今、とても幸せだ。 凪沙(なぎさ)と結婚して子供も生まれた。 本当に本当に、幸せだ。 でも、まだ考えてしまうんだ。 あのとき、僕が彼女を選んでいたらって。 僕ならもっとうまくやったかもしれない。 僕ならもっとずっと彼女は幸せかもしれない。 話す度に僕は、 「そんなことはないさ」 と言ってくれるけど、果たしてそうなのだろうか。 正解は絶対にわからない。 解は永遠に出ない。 それならば。 それならば、僕を越えよう。 僕の幸せをボクが越えよう。 だってそうでなければ僕が、せっかく譲ってくれた僕が浮かばれないじゃないか。 「おい、勝手に殺すなよ」 そう、僕は笑った。
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