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訪問者
ぴぴぴぴ……ぴぴぴぴ……。
俺はぼんやりとした頭で目覚まし時計を止めた。昨日は飲みすぎたせいか、全身が打ちつけられたように痛む……が、記憶はない。
身体も痛いし、このままもっと眠っていたい。……会社を休んでしまおうか。
薄暗い部屋の中、リモコンに手を伸ばし、ベッドの上でいつもの朝のニュースをぼーっと眺めていた。
『さて、次のニュースです。昨夜未明、××区の住宅に男が押し入りました。男は不動産会社社長の○○さんを殺害し、自宅にあった現金一億円を持ち去っています。警察は男を強盗殺人の容疑で行方を追っています。』
あれ、今テレビで映った家、近所の家じゃないかな。高そうな外車が玄関越しに見えて――。
ふと、ベッドの横に見覚えのない黒いボストンバッグが目に入った。バッグを開けてみると、血まみれの札束とサバイバルナイフが鈍く光っているのが見えた。目にした途端、すっと血の気が引いていくのが分かった。
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