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そうだ、昨日の帰り道……急に飛び出してきた男にタックルされて、道に倒されて全身をしこたま打ちつけたんだ。それでこのバッグをお詫びに、って差し出されたんだよな。逃げるように立ち去ってしまったから、預かるつもりで自宅に持ち帰ってそのまま眠り込んで……。
まずい。このままじゃ、俺が犯人になってしまうのか?でも、俺は何もしていない!とにかく、警察だ。警察に連絡して、ありのままを話せば――いや、絶対疑われる。
ピンポーン。ピンポーン。
インターフォンの画面を覗いてみると、帽子を目深に被った警察官が立っていた。すぐに開けなければ怪しまれる。俺は恐る恐るドアを開けた。
「朝早く申し訳ありません。近くで起こった強盗殺人事件について、お話を伺いたいのです」
「は、はあ……」
うわ、警察だ。どうしよう。話してしまうか……?
こちらの動揺をよそに、昨夜変わったことなどなかったかと礼儀正しく尋ねてくる。特にないと答えると、警官は一礼して去っていった。
俺はドアを閉めて、安堵のあまり思いっきり息を吐く。たちまち手の平からどっと汗が吹き出し、後頭部を汗がつたい落ちるのが分かった。
思い切って話すべきだったのだろうか。警察は礼儀正しくこちらの話も聞いてくれそうだった。さっきの警官ならきっと分かってくれるんじゃ……。
ピンポーン。ピンポーン。
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