第21章 彼女の何もかも

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「ちょっ、…まだ、途中なの。終わるまで…、あっち、行っててよ。邪魔しないで…。あぁっ、武市。やめちゃいや…、もっと、して。動いてぇ…。早く、ドア閉めて、野沢!リビング行ってよ、さっさと」 「本当に…、何なんですか、そのまま最後まで続けるとか。武市くんだってばつが悪いでしょう。普通に水が差された時点で中断するってわけにはいかないんですか?」 懇々とお説教。尤もあのあとすぐってわけではない。 野沢の存在を気にしつつもわたしに思うようにされて中途半端に終わらせることもできず、結局最後までしてしまった武市。それですっかり恐縮してる彼の前でこれをやると責めてるように受け取られるみたいで一応気が引けたらしい。 恙なく最後まで終わってすっかり満足した身体でひしと抱き合い、たっぷり余韻を味わってからおもむろに身支度を整えてリビングに赴いた時点では野沢は特に怒ってる様子もなく平常運転だった。いつもの午前中の講義が休講だったことを説明して、奴が作ってくれた昼ごはんを食べて二人して学校へ行くのを見送る時も何事もなかったように穏やかだったのに。 その日は塾講師のバイトがある武市と学校で別れて帰ってくるなり、待ち構えていた野沢にリビングに座らされてこってり絞られる羽目に。     
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