第21章 彼女の何もかも

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「まさか、武市はそのまんまだよ。じゃないと意味ないじゃん。それにこのままで最高だし、わたしにとっては。この顔とこの身体…、ああ。やっぱ、素敵」 「火宮の方が滅茶苦茶なこと言ってると思う。一般的に考えて」 妙にとろんとした目つきで間近に俺を見上げる彼女にちょっと引く。 「どこにでもいる目立たない顔と身体だろ、普通だよ。よそでそれ絶対言わない方がいいよ。きょとんとされるから、意味わからないと思う」 「何で?だって顔立ちもすっきりして綺麗だし。肌も滑らかで気持ちいい。…この、あんまり肉のついてない薄い胸も。ちょっと骨ばった指の長い手も…、ぜんぶ」 何故かうっとりと熱に浮かされたように俺の頬や首筋、身体を両手のひらで愛おしそうに撫で回す。…ちょっと、そんな風に。朝からされると。 「…、っん」 「感じる?武市」 俺が図らずも小さく呻くと彼女が目の底を微かに光らせた、ように見えた。ちょっと、妖しい雰囲気。午後からとはいえ今日講義あるし。平日の遅い朝、むしろ昼間に近いか。一体今は何時なんだろう? こんなこと、…今から始めて。時間的には大丈夫なのかな。     
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