目に余るイケメン

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目に余るイケメン

店の外へ出ると、グレーの膝丈のコートを羽織っても肌寒くて一気に酔いが覚めた。まあ、もともと飲んでないし飲んでも酔わないザル体質なんだから酔いが覚めるという表現は少しオカシイかもしれない。 ブラックのステンカラーコートを羽織った三浦さんは、一段とイケメン度がアップしていた。 目の前に立つ三浦さんを見て夢じゃなかったんだと思ったんだけれど、一応数回瞬きをしてみた。消えてない、煙のように消えてなくならない、という事は夢じゃないということだ。 イケメン三浦さんは、この世にちゃんと存在していて、参加する必要の無い合コンに現れなぜか…。自分で言うのも多少、かなりおこがましいが、年上女をお持ち帰りする図というのがここに確かに存在していた。 私ってば、もしかして今現在お持ち帰りされてる途中じゃないだろうか。焦りながら三浦さんを窺う。三浦さんは何を考えて私をお持ち帰りしてるんだろう。 「真澄さん、これからどうします」 は?私にそれ聞くんだ? あんなに強引にお持ち帰りしておいて女の私に「これからどうする」と聞くのは、いかがなものかと……。 「私は……帰りますけど。よかったんですか? 三浦さんは来たばかりなのに」 「まあ、僕は人数あわせでしたし、もともと、こういう役割なんで」 こういう役割。それは、一体どういう役割なんだろう。人のことに私はあまり詮索しないタイプだが、さすがに三浦さんの言う役割とやらには大変興味があった。
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