目に良いイケメン

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頭の先からつま先にかけてぞくぞくと悪寒が走った。 営業事務の明日香ちゃんといえば、うちの会社では評判の美人さんだ。好き嫌いの好みが別れる日本人離れした濃い顔だが、少なくても私は認めている。 明日香ちゃんは間違いなくそのへんのタレントなんかより遥かに美人だ。 何故、万里は明日香ちゃんの代わりに私を選んだのだろう。頭がどうかしているんじゃないだろうか?  適材適所がなんたるかを把握できていない能天気な万里に言ってやりたくなった。 今夜は美人との合コンだと期待している男性が私を見たときのガッカリ具合を想像してごらんよ。 風邪の明日香ちゃんより断然かわいそうなのは私の方だからと。 なんか……始まる前から最悪なんだけど。 合コン会場である和風居酒屋の奥に入り、店員に案内されて個室の襖の前に立つ。大きな磨き上げた革靴がズラッと並んでいた。 やっぱり、帰ってもいいですか?  そんな私の考えもつゆほども知らず、ノックして「失礼しまーす」と襖を大きく開けてしまう店員さん。 目の前に並ぶ男子を見て卒倒しなかった自分を私は褒めてやりたい、そんな気分だった。
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