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「いつ間にやら、その美人店主に気のある男にされてるし。
なんでなんですか。
僕は、毒草への興味を演出したかったのに。
貴女がそんなに綺麗だから、誤解を生んだんじゃないですか」
と何故か叱られる。
……すみません、と身を小さくしていたのだが、刹那はこちらを見て、少し笑ったようだった。
「すみません。
龍哉くんに怒られますね。
貴女を叱ったりすると」
えっ? と琳は顔を上げる。
「……何度ももうやめようと思ったんです。
僕は、貴女の店に長く通いすぎて。
みんなと仲良くなりすぎました。
このまま、此処に居たいと願ってしまったんです。
でも、そのたび、あの、二宮金次郎が――」
え?
二宮金次郎が?
「二宮金次郎が、なにしてるんだ、やれって言ってる気がして」
……児童のお手本、二宮尊徳さんはそのようなことはおっしゃらないと思いますが、と思っている琳の横で、刹那は言う。
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