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「そういうのに反発して、大学生にもなって、似合わないヤンキー風の格好してたのか?」
さあ? と小首を傾げながら、琳はカウンターに入っていく。
眩しい庭園にもう二宮金次郎は居ない。
あのあと、琳が、
「金次郎さんを撤去しようと思います」
と言い出したからだ。
「犯罪を誘発するので」
と言う琳に、
いや、まずは、毒草から撤去しろ、と思っていたのだが。
琳は、
「これは金次郎さんによる殺人未遂事件ですよ!」
と主張する。
「金次郎さんを見たら、みんな童心にかえるらしいので。
安達さんもそうなって、犯罪を思いとどまってくれるかなあ、と思って置いていたんですが。
まさか、金次郎さんのせいで、計画を実行しようとしていたとは……」
「そうだな。
まあ、どうでもいいが、また新たな犯罪を呼び込みそうなものが納入されないうちに、今の造園業者とは手を切れ」
と言ってみたのだが、琳は相変わらず、人の話を聞いてはいなかった。
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