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「結局、里中は安達刹那を訴えなかったんだな。
あそこまででも充分犯罪だったが」
カウンターで将生がそう言うと、琳は笑い、
「だからやっぱり、そう悪い人でもなく、いい人でもないってことなんでしょうね。
まあ、人間って、みんな、そんなものだと思いますけど」
と言っている。
「そのうち、安達さんにも、素敵な出会いでもあれば、吹っ切れるのかもしれないですね」
と言いながら、琳は珈琲の缶を開けている。
雨宮以外で。
雨宮以外でお願いします、神様、と将生が願ったとき、
「琳さん、アイスコーヒーふたつ」
と言いながら、龍哉がやってきた。
今日も父親と二人だ。
龍哉の父親だけのことはあり、なかなかのイケメンである龍哉父が笑って言う。
「また女性陣は買い物ですよ。
終わりゃしないから、避難してきました」
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