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梅雨後半を迎え、曇天と湿った空気とで、どことなく気分が沈みがちなこと季節。そんな教室の窓際の席で、外をじっと見ている女生徒がいた。そこに友人2人が近寄る。
「七海 大丈夫? お昼も食べてないし」
「ほら このお菓子香奈好きじゃん 食べようよ」
「美和 栞 ありがとね でも今はちょっと……」
「何言ってるのよ七海 こういう時こそちゃんと食べなきゃ駄目じゃん!! 」
そう言うと、栞は窓の方を向きっぱなしの私の顔を自分の方に向けさせた。
「でも……食欲ないの……」
「まあ そうかもしれないけどさ」
栞の後ろに立っていた美和が心配そうな表情を見せる。その直後だった。彼女等の背後からいきなり様子を伺う影。
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