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 振り向いた彼女は、長い睫毛を上下させて僕に問う。 「どっちが?」 「……イルミネーションが」 「それなら、見に行きましょうよ」  僕の返事に、呆れたように答えた彼女は、遊園地の真ん中に向かって歩き出した。 「来週は、動物園に行こう」  三歩で彼女に追いついて、横に並んだ僕は言う。体温はまだ一番高い空の上だ。  繋いだ手を大きく振って、彼女はようやく にっこり笑った。 【 終 】
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