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「見えない」 向かいのシートに座った彼女は、頬を膨らませてそう言った。 沈む最後の陽光を浴びて薔薇色に光る頬に、まっすぐな黒髪が一房落ちかかっている。 無言の僕に視線を上げることもなく、彼女は身を乗り出すようにして、さらに下を覗き込んだ。 「やっぱり、見えないわ」
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