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神社を後にしたぼくは、その足で駄菓子屋に向かった。
今日はタケシ君と一緒に駄菓子屋に行き、その後一緒に夏休みの宿題をする予定だ。
駄菓子屋に着くと、タケシ君はもう店の前に着いていた。
「ごめんね。お待たせ!」
「いや、大丈夫だよ」
そんな会話をしながら店に入ると、そこにはいつも通り、不愛想な感じのとみばあが座っていた。
「とみばあ、こんにちは!今日は友達と一緒に来たよ!」
「…いらっしゃい」
とみばあの返事は相変わらずだが、その表情は前より柔らかく見える。
「タケシ君、これぼくのオススメ。中にチョコが入ってて、美味しいんだよ」
2人でお互いのオススメお菓子を紹介し合うのは、とても楽しかった。それぞれのオススメを1つずつ買い、店を出ようとする。
「…紙芝居、楽しかったよ。ありがとね」
突然聞こえた声に振り返ると、とみばあが、知らんぷりしてどこか別の場所を見ていた。
「とみばあ、紙芝居観に来てくれてありがとう!」
ぼくたちはそう言うと、何だかおかしくなって駆け出した。
とみばあにも、素直になる鈴はもういらないね。
心の中でそう呟く。
今日はとてもいい天気で、何だか家で宿題をやるのも違うような気がしてきた。
ぼく達の夏休みはまだ始まったばかりだ。ぼくはこれからの話をしようと、タケシ君の方を見た。
高い空に、蝉が鳴いていた。
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