第1章

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してますよねー、僕なんかついつい感情的になっちゃうので、涼ちゃんは酔うと僕に何か不満が有るのかな・・・」 「そうかしら、私は酔っている涼ちゃんがけっこう好きなもので・・・」 ショーが始まった、ウミは昨日の涼子からの言われ無き非難を噛締めて、ステージの中央に進んだ・・・ 午前3:40 涼子の勤め先「Honey」店内 そこは「OLIVE」に程近い場所にあるキャバクラで、美人が多いと評判の店だった。涼子はその店の看板ホステスであった。 涼子は31歳であるが自分より若さを持ったホステスを押しのけて看板であり続けられる 理由のひとつはその美しさだった。 顔立ちは派手ではないが、ハーフとも見られる顔立ちで、ひとりで煙草を燻らせる姿は何故かしら寂しげに見え、周囲の擁護欲をかきたてた。それと、あまり物事にこだわりを見せない態度も人を惹きつける。 その日、涼子はアルコールは口にせず、ミルクティーで接客を乗り切った。 「いっちゃん、お疲れさま」帰り際、涼子はいづみに声をかけた。 いづみはこの店で涼子が一番仲のいい友達であり同僚だった。 「涼ちゃん今日は帰るの?」 「昨日の今日だし、もうクタクタ、真っ直ぐ帰るよ、明日は同伴だし、遅れると機嫌損ねるから」 「涼ちゃんも大変だね、おやすみ」 「おやすみ」 これからアフターに行くのであろうと思われるいづみと店の入り口で別れ、エレベーターを待つ涼子。 エレベーターを待つ間、目眩を感じた涼子だが30秒ほど経つと店が有る4FのLEDが 点灯してドアが開いた。 エレベーターに乗り込む涼子。 ドアが閉まる。 4FのLEDが消え、降下が始まる、エレベーターの降下に同期して3回ほど目の前が 真っ暗になり、涼子の意識は遠ざかっていった・・・ 午前3:40 ショーパブ「OLIVE」店内 ウミはその後、接客の席でテキーラ、シャンパンと一気飲みが続き、正体不明になりながらもショーの後半に差し掛かっていた。 この状態では昨日の涼子の言われ無き非難も受け入れなくてはいけないと思いながらも踊り続ける。ショーが終わり、出演スタッフの紹介となるとショーのスタッフがステージに並ぶ、ウミはいつものように後ろのほうに並んで自分が紹介される番を待つ。待っている間にも目眩を感じるウミ、朦朧としてくる意識。 パールの「弁天町のモテ男ウミですー!」のアナウンスに同期して3回程目の前が
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