公園で会ったあの人

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 それでも、学校というのはある意味、気楽だった。毎日遅刻せずに通い、適当に友達をつくり、適当に勉強していれば過ぎていったのだから。やりたいことを必死に頑張るというのもだるくて、部活もそれなりにやっただけだった。  それに引き換え、会社というのは実に面倒くさい。嫌でも上司の言うことを聞かなくてはならないし、仕事の進め方でさえ、上司の指示のままやらなくてはならない。それで失敗すると「失敗してほしいんだ、それで覚えていってほしい」という訳の分からないことを言われる。部下の失敗を許してくれる優しい上司とでも思ってもらえるとおもっているのだろうか。  そんなわけで学校よりもずっと理不尽極まりない『会社』というところに毎日行く気にもなれず、今日は仕事に向かう車の中で電話をして、体調不良と嘘を吐いて会社を休んでしまった。 「大丈夫? 疲れちゃったのかな。お大事にね、明日は待ってるよ」  そんな言葉に対して謝罪と感謝の意を述べることすら馬鹿馬鹿しいけれど、きちんと言葉を繋いでから電話を切った。  それから私は家に帰るわけにもいかないので近所にある公園へと車を走らせた。そこで一日潰せるとも思わなかったけれど、そこで少し時間を潰そうと思った。
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