風のように

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 それからしばらく男の子たちと話をした。二人は親に迎えに来てもらうと言うので、家まで送ってあげることにした。知らない子を乗せるのは良くないのかもしれない、とも思ったけれど、二人は想像以上に喜んだ。  二人と話をするのは楽しかった。年下の高校生と話が合うとは思わなかったけれど、なるべく二人に話を合わせて、寄り添うように、そう思いながら話をしていた。  少し前までは、そんな考え方は出来なかったけれど、私は少し変わった。  そう……よく思い出せないけれど、誰かが私に教えてくれたこと。 「おねーさん、思ってたより優しくて良かった♪」 「バカッ、失礼だろ?」 「だって、オマエもキツそうなおねーさんだって言ってただろ?」 「それを今、言うのか?!」  二人の会話に私は振り向くと、にっこりと笑った。 「誰かが教えてくれたの。私に、大切なことを。でも、よく思い出せない……」  男の子たちは、また目を合わせると、くすくすと笑った。何だかバカにされているような気になり、ムッとする。するとそれに気がついた男の子たちは「いやいや」と私に向けて手と首を横に振った。 「あの人のこと、忘れちゃったんだね。でも、また会えるよ、きっと」 「忘れた……?」 「……風が通り抜けて消えてしまったけど、また同じ風が吹くよ」 「今でもエラソーなこと言ってるのかな?」 「さぁね。この会話だって、聞かれているかもしれない」 「やだなぁ、怖いよそれ!」  二人の話がよくわからず、私は、目を細めて首を傾げた。私は、何かを忘れているらしい。けれど、そう言われても全然ピンとこない。  腑に落ちないけれど、駐車場に向かい、二人に背を向けて再び歩き出した。
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