16人が本棚に入れています
本棚に追加
それからしばらく男の子たちと話をした。二人は親に迎えに来てもらうと言うので、家まで送ってあげることにした。知らない子を乗せるのは良くないのかもしれない、とも思ったけれど、二人は想像以上に喜んだ。
二人と話をするのは楽しかった。年下の高校生と話が合うとは思わなかったけれど、なるべく二人に話を合わせて、寄り添うように、そう思いながら話をしていた。
少し前までは、そんな考え方は出来なかったけれど、私は少し変わった。
そう……よく思い出せないけれど、誰かが私に教えてくれたこと。
「おねーさん、思ってたより優しくて良かった♪」
「バカッ、失礼だろ?」
「だって、オマエもキツそうなおねーさんだって言ってただろ?」
「それを今、言うのか?!」
二人の会話に私は振り向くと、にっこりと笑った。
「誰かが教えてくれたの。私に、大切なことを。でも、よく思い出せない……」
男の子たちは、また目を合わせると、くすくすと笑った。何だかバカにされているような気になり、ムッとする。するとそれに気がついた男の子たちは「いやいや」と私に向けて手と首を横に振った。
「あの人のこと、忘れちゃったんだね。でも、また会えるよ、きっと」
「忘れた……?」
「……風が通り抜けて消えてしまったけど、また同じ風が吹くよ」
「今でもエラソーなこと言ってるのかな?」
「さぁね。この会話だって、聞かれているかもしれない」
「やだなぁ、怖いよそれ!」
二人の話がよくわからず、私は、目を細めて首を傾げた。私は、何かを忘れているらしい。けれど、そう言われても全然ピンとこない。
腑に落ちないけれど、駐車場に向かい、二人に背を向けて再び歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!