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光くんはふふんと笑う。
「ようやく、理想の人が見つかったんだ。お前のおかげで、ようやくなんとかなりそうなんだ。ありがとうな」
「……そう、おめでとう」
彼が目を細めると、彼の悪い癖が出ちゃったんだと、私は寂しく思う。
光くんは、悪気がなく欲が深いんだ。だから、外面だけで好きになった子のことは、平気で無下に扱ってしまう。
紫先生にとっても、彼がヒーローのように見えているから、今のところ光くんに夢中だから大丈夫だろう。
でも、彼が飽きてしまったら? やっぱり外面だけしか見てもらえないって気付いてしまったら?
やっぱり彼は無下に彼女を扱うようになってしまうと思う。
私はずっと「友達」でいるから、彼と距離感を保って一緒にいられるけれど、私は光くんの中に入り込む勇気はない。
私の失恋は、好きになった時点で確定しているんだ。
私は彼の悪気のない悪意に、耐えきれる自信がないから。
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