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光くんは顔に机の痕を付けて、友達に抗議をする。
「だってさ、好きじゃないのに期待させるのって失礼だろう? もしかして好きになってもらえるかもしれないって待たせるのもひどい話だから、なんとかばっさりフッたんだけどなあ……」
「お前ひどい奴だね」
「どこがぁー!?」
さんざん光くんは友達に文句言っているものの、それは「ひどい奴だよ」コールで流されてしまった。
そうだね、光くんはひどい奴だね。
私もそう思ったけれど、それは胸にしまっておいた。
「ちいちゃん、源くんまた女子に告白されたって聞いたけど」
ちょうど購買部から帰ってきた雛ちゃんに話を振られ、私は思わず窓の縁で頭を打つ。痛い。
「……もうそんなところまで回ってたの?」
「うん、チア部の主将が撃沈したって。立ち聞きする気はなかったんだけれど、また光源氏がやらかしたって言ってたから」
「……うん、そうだね」
私は打ち付けた頭を撫でながら頷いた。
「いいの? ちいちゃんはそれで」
雛ちゃんに聞かれて、私は首を振る。
「いいもなにもないよ」
****
「光くん、お疲れ様」
「千鶴、俺またフらないといけなくなった」
「本当に大変だよねえ」
私は思わず笑いながら、ふたりで家路に着いた。
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