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マンションの隣同士なもんだから、小さい頃から同じ道を通っていたのだ。学区が同じだから、小中高ずっと一緒だ。なんでも話せる友達だと、そう思っている。
ずっと私と一緒にいたせいなのか、光くんはひとりっ子にも関わらず、女子の扱いが上手かった。
さらりと重い荷物を持ってあげる、ふたりで歩いているとき車道側に立って歩く、泣いている女子をはやし立てることはしない……。
同年代の男子の馬鹿さを知っていたら、女子が放っておかないんだ。融通が利いて、下手に茶化さないで話を聞いてくれて、なによりも優しい男子なんて、そんなに多くはない。
でも、光くんはちっとも女子になびくことがなかった。一時期は「既に幼馴染の女子がいるからじゃないの?」とも言われていたけれど、私と光くんが本当になにもないと知ってからは、勘ぐられることもなくなった。
「俺のこと、いったいなんだと思ってるんだろうな、女子は」
「大人びてて格好いいって思ってるんだよ。憧れるんだよ、そういう人には」
「そんなの、外面だけ見てるだけだと思うけどなあ……」
幼馴染のよしみで、光くんは割とドライだということを、私は知っている。
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