私と彼はずっと「友達」

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 次の日から、紫先生と光くんの雰囲気は明らかに変わった。紫先生が光くんの前だと、先生の皮が上手くかぶれなくなってしまったのだ。  今のところは私以外全容を察した人はいないみたいだけれど、男子はともかく女子は微妙な変化に気付いたみたいだ。 「あれ、紫先生。化粧変わった?」 「えー、変わってないよ? 学校に行くときは化粧を抑えてるから」 「でも、先生なんか知らないけれど、昨日より可愛いよ?」 「えー? からかわないの」  そんな女子同士のきゃらきゃらした会話を耳にしつつ、雛ちゃんは私に心配そうに寄ってきた。 「ねえ、源くん、紫先生と……」 「今はなにもないと思うけれど、時間の問題だと思うよ」 「千鶴ちゃんはさ、本当にいいの? 本当に」 「……残念だけれど、私だったら光くんはどうにもならないんだもの。でも私」  憂鬱な気分になりながら、頬杖をついた。 「光くんをどうにかできる人なんて知らないよ。だから、余計につらい」 ****  紫先生が教育実習が終わり、学校を去っていく。  光くんが紫先生とスマホを持ってしゃべっている。そこからして、きっとアプリのID交換でもしていたんだろうな。これで、ふたりの縁は切れない。生徒と先生じゃ無理でも、高校生と大学生だったらなんの問題もないんだから。     
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