シャーマンガール

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シャーマンガール

 十五歳の春、私は誰よりもエロかった。  彼氏と一緒にベッドに座り、腰を抱かれ、唇を奪われ、大人になっていく。そんなことを妄想しながら、教室のベランダからサッカー部の練習を眺めていた。  南川高校のグランドで、一つ年上の真壁雄(まかべゆう)先輩が華麗にゴールを決めた。 「きゃぁ凄い!」  自然にテンションが上がる。まだレギュラーではないが、しなやかな足さばきはまるで、野生動物のインパラのようだった。体のなかの熱い部分が優秀な男のDNAを求めている気がした。私は一緒に練習を眺めていた親友の春名に先輩のことをリサーチしてみた。 「真壁先輩って彼女いるのかな。どんな子がタイプなんだろう?」 「やめといたほうがいいわよ。うちのお兄ちゃんってただのM男だから」  実の妹からとんでもない返事が帰ってくる。 「……自分のお兄ちゃんにM男なんて酷くない?」 「悲しいけど、それが事実なのよね」     
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