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春名は食べていたアイスクリームのヘラを口にくわえると、上着のポケットからスマホを取り出した。そこには声に出して読みたくない、アダルトDVDのタイトルがずらっと並んでいた。『黒ギャル女教師・M男調教』、『黒ギャル先生と童貞くん』、『黒ギャルさん僕を叩いてください』。
全てのパッケージに黒ギャルの文字が入っていた。先輩の性癖に顔が赤くなってしまう。……変態だ。心拍数が変に上がってくる。いやでも春名がシスコンで、ほかの女にお兄ちゃんを取られないために予防線を張っているだけかもしれない。
「……ど、どうしてこんな画像を持っているのよ」
「春休み暇だったから、お兄ちゃんの部屋に漫画を借りに言ったの。その時、何気なく本棚の裏側が気になって、スライド式の棚の後ろの方を覗いてみたら、残念なコレクションが大量に出てきたってわけ」
「だからって何で画像を撮るのよ。先輩の特別なプライベートアイテムじゃない」
「喧嘩になった時ようよ。腕力じゃかなわないから。お兄ちゃんが切れ始めたら、黙れマゾ野郎って、この画像を見せつけてあげるの。きっとすぐに大人しくなるわ」
春名の言い分は納得できた。初体験は年上の彼氏にリードされたいって考えていたのに。先輩のことを軽蔑してしまう。それなのに頬の火照りが止まらない。駄目だと思いながら、胸のなかで先輩のことを罵倒したい気持ちになっていた。……このマゾ野郎!
知らず知らずのうちに妄想ワールドに落ちていく。
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