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私はその世界では眼鏡を掛けた黒ギャルの女教師だった。黒いスーツにタイトスカートを合わせ、手には冷たく光るアルミ製の指し棒を持っていた。目の前で素肌を晒した先輩がブリーフ一枚で正座をしていた。
私は二人きりの教室で、女子人気が決して低くないサッカー部のエース候補に声をかけた。
「お前、学校でよくそんな格好ができるな?」
先輩は固めた拳を膝に置いたまま頬を染め震えていた。
「……佐山先生、どうしようもない僕のことを、ぶって更生させてくれませんか」
「はぁ? お前なんて殴られも喜ぶだけの豚野郎だろ? 何が更生だよ! ぺっ!」
私は先輩の頭を鷲掴みにするとその顔にツバを吐きかけてあげた。
「はふっ」
先輩は短い声を出すと喜色満面の顔を見せた。視線の先で隠そうともしない真っ白ブリーフの先が熱くなっているのがわかった。
「……こ、こういうの嬉しいです」
私は眼鏡の縁をさわりながら先輩を蔑んだ目で見下した。たまらない高揚感が私を包む。先輩のことを調教したい。この愚かな生き物をいたぶらずにはいられない。肌を隠した服ではなく、心をおおった襞をめくり、ぶひぶひと声を出しながら泣かしてやりたい。
私は私のなかに特別な何かがいることに気づき始めていた。
はっ……。私はヨダレを拭き取ると学校のベランダにいることを思い出した。春名がアイスクリームの乗っかったヘラを私のほうに向けていた。
「大丈夫?」
「大丈ふ」
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