シャーマンガール

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 私はあえて春名に確認を取ると黒い髪の毛をヘアネットでおおい、そのうえからベージュゴールドカラーのカツラを頭にのせた。大きな目にロングヘアーの髪の毛を加えると、内側から好戦的な力が湧き出してくるのを感じた。  私は街に溢れる派手な格好をした女の子たちの気持ちがわかる気がした。これは未開の地のシャーマンとの契約だ。  それはまるで槍を持つ太古の戦士が、顔に線を引き、髪を赤く染め、ライオンの襟巻きを肩にのせるように、スカートを腰に巻きあげ丈を短くし、色ゴムで髪をくくってストレートのツインテールを作り、黒縁の伊達メガネを掛けた。私は立派な大人ギャルだ。目尻と口角が不敵にうえを向いてくるのが自分でもわかった。 「ん、どうしたの?」  目の周りにつけまつげを貼り付けていた春名が声を掛けてきた。 「私、これから先輩を狩りに行くから」 「狩る? みちるちょっと性格が変わっていない?」 「変わってない!」  私は一言、啖呵をきると春名のスマホを奪い取った。  私はシャーマンに選ばれた戦士だ。生まれながらに強い。どうりで先輩がインパラに見えたはずだ。容赦なくその首を取らなければならない。  私はグランドが見える渡り廊下まで出てくると、校庭脇の水飲み場で顔を洗う先輩を見つけた。部活終わりのその姿は隙だらけに見えた。 「真壁先輩!」     
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