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草食系のインパラは顔を上げた拍子に動きを止めた。私の髪の色に言葉を失っていた。頬の色でわかる。こいつ私に惚れたな。私は戦闘開始の槍を投げつけた。
「先輩、私と付き合ってくれませんか?」
先輩は少し困った顔を見せた。
「……お前、春名の友達だろ。悪いけど、俺、年上が好きなんだ」
「知ってますよ。春名が教えてくれましたから」
私は後ずさりするインパラを猫みたいに垂れ下がった目で見つめると、黒ギャル女教師の画像が写ったスマホを見せつけた。
「……あ、あの、それは、卒業した先輩に押し付けられたんだよ」
シャーマンの血に目覚めた私はインパラの逃げる方向が容易に想像できた。その足元に火をばらまいてやる。
「あれれ、だったら捨てちゃえばいいのに」
「うっ」
か弱いインパラは決まりが悪そうに言葉をなくした。私はゾクリと震える体を気力でコントロールすると地面に刺さった槍を抜いた。下からその顔を見上げ容赦なくいたぶる。
「どうして先輩が黒ギャル好きか当てましょうか……? それは先輩が生まれながらのM男だからですよ。恋愛のことをなんにも知らない僕のことを、綺麗なお姉さんに手とり足取り教えて欲しいって言う、童貞の願望が気持ち悪い趣味に現れているんですよね」
インパラは図星を突かれると、羞恥心を怒りに変えて大声をあげた。
「お前、俺に喧嘩をうっているのか」
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