シークレット・ラブ

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 そして、そのチャンスはすぐに訪れた。  榊くんを放課後の校庭で捕まえて、ミモザの木を指差して校長さながらの演説を終えた私は、緊張でその日の夜はなかなか寝付けずにいた。  結局は、その場で榊くんが行動に移すことはなく「そろそろバイトの時間だから」と言って私を残し、帰って行ってしまった。  でも、まぁー目の前で行動を起こせるぐらい度胸があるのだったら、とっくに好きな人に告白をしているはずで……  それにもしかしたら、明日渡されるかもしれない。榊くんにだって考える時間が必要だよね、と勝手に納得して、甘酸っぱい気持ちを持て余すように私は布団の中で悶続けた。  その日から数日間、私は視線を榊くんに向けられないほどに意識してしまって、落ち着かない気持ちを持て余していた。  いつくれるのだろうか。それとも、もう他の人に渡してしまったのだろうか。不安と焦りばかりが日に日に増していく。 「なぁー三咲。ちょっと話あるんだけど」  放課後に珍しく燎が声をかけてきたことで、私はとうとう来たかと覚悟を決める。  もしかしたら、榊くんが燎に相談したのかもしれない。あげようと思うんだけど、どうしようかなと……。  不安と期待が混じったこれぞ青春の醍醐味を噛み締めながら、私は燎の手を引いて屋上へと足を向ける。  誰かに聞かれでもしたら嫌だという理由だけで、侵入禁止の札をくぐり抜け、先生に怒られるのを覚悟で屋上の扉を開く。
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