第1章ー2

2/17
前へ
/17ページ
次へ
「はぁ、やっちまったかな」 はぁと大きくため息をついた僕は、誰もいないリビングのソファーの横たわる。 ふと、芹沢遥の寂しそうな瞳を思いだし、もう一度ため息をついた。 こうゆう事をするから、近寄りがたいだの、近寄るなオーラが出てるだの、色々言われるのだろうか。 僕は自ら人を寄せ付けない? そう考えて、フッと苦笑いが漏れた。 春になると、僕は臆病になるのだ。そして、大ウソツキになる。 本当の僕は、「桜」が苦手なだけ。桜アレルギーではない。 桜アレルギーなんて、体よく考えた嘘なのだ。 それを今まで誰にも打ち明けたことはない。 桜が原因で、しんどくなるのは体のほうではなく、精神のほうだということは。 僕は桜が苦手だ。 僕が10歳になった頃から――。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加