第1章ー2

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何気なくつけたテレビはニュース番組だった。中継中のアナウンサーは明日のお天気を伝え終ると、小さなフリップを取り出した。そこには全国お花見情報と大きく書かれている。 アナウンサーのバックに映し出されているのは、見たことがある風景だった。 「あら? 京都じゃない?」 いつの間にかリビングに来ていた母がテレビを見ながら言った。 「うわ、びっくりした。出かけてたんじゃないの?」 「隣の部屋でアイロンかけてたのよ」 「そ、そうなんだ」 そう言いながら、母は台所へと向かう。そろそろ夕飯の支度でもするのだろう。 「ここって、岡崎だね」 「うん」
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