第3章ー2

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千恵子おばさんが作ってくれた朝食を食べ終わり、僕は庭に目を向けた。 叔母さんが育てている鉢植えの花たちと、おじさんが手入れでいている盆栽が並んでいる。 太陽を浴びているのは、石灯篭。僕の日常の中にはない風景をぼんやり見ながら、居間でくつろぐおじさんと叔母さんの長閑な会話を聞くともなしに聞いていた。 僕は、それらの音を聞きながら、縁側にバタン寝転がった。 「隆ちゃん、どうしたん?」 「腹でも痛いんか?」 大の字に体を広げて突然寝転ぶ甥に叔父さんたちは驚いている。 唐突なことをしてしまったのか、と少し反省しながらも僕は目を瞑って言った。 「なんだか気持ちがいいなーと思って」 背中に長く続く縁側のほんのり冷たい感触がする。 ずっとこのまま寝ていたい気分だった。 「今日はこんなにいいお天気やし、どこか遊びにでも行って来たら?」
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