第四章ー2

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「ごゆっくり」 僕の声に彼女が微笑む。それだけで菊屋が特別な空間に変わる気がした。 「今日は珍しくすいてるね」 大福を食べながら彼女が言う。 「時々、こうゆう時間ができるんだ」と僕は言った。 「じゃあ、タイミングがよかったってことだよね。一度、お店の中で食べてみたかったから、嬉しい」 そう言って、大福を頬張る彼女の横顔を見ていた。 京都の町に知り合いはいないという彼女はよく僕を頼っては遊びに来るようになった。 彼女は、一人よりも二人を好むから、京都観光をするには、新しく友達になった僕がいたほうが都合がよいのだろう。 僕のバイトが休みの日は、一緒に観光名所に足を運んだ。 バイトがある時は時々、今日のように和菓子を買いに来てくれた。 店内がすいている時は、中で食べていくこともあるが、店の中が騒がしくなると彼女は軽く会釈をして、店を出て行く。
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